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沖縄ブランドvs本土ブランドの好みは業種によって異なります

伊波貢の沖縄中小企業のためのmini経営塾 Part5 戦略

コラム 2019.04.22

沖縄の個人(法人ではなく!)の消費行動においては、沖縄ブランドの企業か、本土ブランドの企業かで大きな違いがあると思います。
基本的には、沖縄の地元びいきの県民性だと思います。しかし、実は、業種や商品・サービスによってその選択行動は異なるのではないかと考えられるのです。

図を見てください。横軸が本土ブランド(品質期待大)か沖縄ブランド(品質期待小)か、縦軸が価格が高い商品・サービス化低いものか(概ね1万円が境目か…)で4象限で考えてみましょう。

【本土ブランド・高価格】
例えば、飛行機に乗るとき、新車(特に高級外車)を買う時に特に沖縄である必要があるでしょうか。また、JALとJTAが同じ路線で飛んでいて料金が変わらない場合、どちらを選ぶでしょうか。もちろん、絶対地元企業!という方もいると思いますが、機材やCAさんの接客、もろもろ考えるとJALを選ぶ県民が多いのではないでしょうか。新車もヤナセさんの様に県外ブランド企業で買うことが多いと思います。沖縄の会社であることは、ブランド的にはむしろマイナスかもしれません。高い買い物をするわけですから、気持ちの良い営業マン・礼儀正しい人から買いたいですよね。この象限で接客にあたるのは、県外の信頼できる人物の方が効果的かもしれません。

【沖縄ブランド・低価格】
1回あたりの消費額が大きくない商品については、逆に地元企業であることが大きな選択要因になっていると考えられます。例えば、スマホ会社(au)、コンビニ(沖縄ファミリーマート)、地元食堂など。ここの象限では、地元らしさ、地元オリジナルの商品・サービスをラインナップすることが肝かもしれません。地元向けに新聞広告チラシを大量に配布したり、地元イベントのメインスポンサーとなったり、地元らしい衣装(かりゆしウェア)や接客(ときには方言も)、CMもローカル色を全面に、といった具合です。県民に普段からいかに親しまれているかが大事で、人材のほとんどは県民が好ましいと思います。

【沖縄ブランド・高価格】
一方で、価格が高い商品・サービスであっても、地元企業を優先する分野があると思います。例えば銀行です。金利は本土銀行が低くてサービスも充実していると思いますが、やはり地元の個人は地元を優先する傾向があるはずです。住宅や弁護士や税理士などの士業についても、価格は高いとしても、やはり地元の文化・風土、県民性をなどを理解している人の方が付き合いやすいといいうことがあると思います。
このため、こちらの象限も、接点になるのは地元の人が印象が良いと思います。ただし、この分野は商品・サービスの質がほとんど本土と変わらないもので、品質に関して本土・県内で特段の差が生じない場合です。高級レンタカーは管理の差はあるかもしれませんが、本土企業の店でも沖縄企業の店でも基本は同じレベルが得られると思います。

【本土ブランド・低価格】
ちょっと難しいのは、こちらです。本土企業ブランドと沖縄らしさのハイブリッドで戦略展開する必要がありそうです。例えば全国チェーンの飲食店を想像すると分かりやすいでしょうか。1回あたりの消費額は、数万円単位ではないとしても本土クオリティを求めるのではないでしょうか。このため、品質は本土基準で沖縄らしさを強調することはむしろマイナスに作用しますが、一方では地元らしいフレンドリーさを出さないと採用面が困難となるかもしれません。本土企業なんだけど、沖縄らしい温かさももっているという感じでしょうか。ちなみにタクシーなどはもともと地元企業で価格も安い方が良かったと思いますが、本土企業の進出で、本土ブランドの方が車の質や接客サービスが良いため、料金がさほど変わらないなら、本土企業の方が良い、という風に選択方法が変わるかもしれません。

どうでしょうか。自分の会社の商品・サービスはどの象限にあたるのか考えてみてください。本土品質が求められているのに、地元コテコテのPRをしていたり(ちゅら◯◯、沖縄◯◯)とかしていませんか。
どの戦略が効果的かを考えるのが、経営者の皆様の大事な仕事です。

沖縄ブランドvs本土ブランドの好みは業種によって異なります

このコラムを書いた人

伊波 貢

東京の国内中堅証券会社系シンクタンク、沖縄県内地方銀行、地銀系シンクタンクを経て、ブルームーンパートナーズ株式会社を設立。公的支援機関のマネージャーとしても活動。

<実績及び得意分野>
エコノミスト、産業アナリスト、経営コンサルタントの3つの顔を持つ。県内初の証券アナリストとして、沖縄地域経済・産業に関する研究をフィールドワークとする。 公的機関支援事業の各種委員・審査委員を歴任し、地域経済・産業活動のコメンテーターとして新聞・テレビ・ラジオなどにも出演。著書「おきなわデータ算歩」は県内で1万1千部を発行。 年間30本程度の講演セミナー活動を行い、沖縄の未来のために、行政・企業が何をすべきか、その戦略構築の必要性を説くことをライフワークとしている。
専門領域は、産業政策の提案、経営戦略構築、マーケティング戦略策定、地域ブランディング、県外・海外進出支援、沖縄への企業進出支援、グローバル人材の育成戦略など。


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