琉球紙・活版印刷の今と昔を巡る"琉球ヒストリーツアー"
第1回 大人の社会見学~琉球紙と活版印刷~【受付終了】
琉球紙・活版印刷の歴史に触れる "体験型ヒストリーツアー" 開催決定! 「大人の社会見学」は、"大人になった今だからこそ楽しめて、勉強……コラム 2021.02.25
コラム 2020.07.02
ゆいまーるという言葉で表現され、温厚で優しい県民性といわれるウチナーンチュだが、ビジネス現場では若干の違和感を感じることが多い。その背景には、恩義や忠義といった「義」の思考の弱さがあるのではないか。個人と法人でも思考に違いがあるとみられ、本土との違いも意識しながら考察してみた。
例えば営業や経営支援をお願いしたいとき、沖縄の経営者には具体的な内容よりも想いを伝えた方が、逆に本土の経営者には想いよりも数字を用いて相手のメリットを説明する方が、うまくいくケースが多い。これはあくまで私の経験則に基づく攻略方法だが参考にしてほしい。
沖縄人の特徴として、忠義や恩義という概念が弱いとよくいわれる。例えば、目をかけて育ててきた社員が、「あちらの会社が給料高いので辞めて転職しますね」と悪びれることなくいわれることがある。
いわゆる「義」が無いのは、気候の影響によるものとも考えられる。凍える雪山で助けてもらった一宿一飯の恩義を、子孫末裔まで忘れないという考え方は沖縄人にはとても仰々しく聞こえるのではないか。沖縄では道端で寝ても凍え死ぬことはないし、山にいけば果物があり、海に行けば魚も捕れただろう。このため、忠義を優先することなく、有利な条件が示されればそちらへ行きがちだ。沖縄に進出している本土経営者の多くがこの感覚に悩まされているようだ。
ただし、個人と法人では若干考え方が異なる気がする。私が銀行を退職して20名の株主に出資いただき会社を設立した際の話である。これまで結構仲良く飲みにも行き、仕事でも関わった方々に出資の依頼に行くと、お金の話が出た途端に表情が変わり、「考えておこうね」とほぼ全員に逃げられた。一方で、沖縄の経営者の皆さんは、「出資したこと無いけど協力するよ」という方々が多く、事業計画書の説明も聞かないままに応じてくれた。会社経営の大変さを骨身に染みて理解しているからだろう。沖縄の人はプライベートの個人としては、ノーとはいえず応援するさぁとか言いながら、す〜っと離れていくのである。
また、弊社が展開しているキャリア教育イベントの寄付を募った際のこと。やはり沖縄人の反応は鈍くて、150名程度の寄付者のうち地元沖縄人の割合は63%程度にとどまった。沖縄は、心の優しい人が多いとよくいわれるが、実際にはお金やビジネスの話になると、とてもシビアな方が多い気がする。どれほど世話をしたつもりでも、優しくしたつもりでも情緒的に恩義や忠義で考えるという思考が弱く、「それとこれとは別」と合理的に考えるというところだろうか。
逆に本土出身の個人の方は私財を投じて弊社の設立を支えてくれた。しかも、こちらが特段の便宜をはかった記憶も無いのだが。お世話になったから困った時はお互い様だという。
一方で本土の法人の場合は、どういう仕事を具体的にまわすのかと尽く聞かれ、結局1社も出資に応じてくれなかった。結構懇意にしてきたつもりだが、それはあくまで名刺上のお付き合いであって、合理的な理由が無ければ協力できないということだろう。とても寂しい思いをし、打ちひしがれた。名刺や肩書文化という日本の制度を痛いほど理解した。個人としては、恩義に感じているが、組織の判断は別のようだった。
さきほどの寄付金の話に戻ると、本土出身者の反応は、沖縄人とは別格に良かった。しかも、1人あたりの寄付額が大きい人が多く、教育支援に関する熱い想いを感じた。そこは、沖縄の人とは別で、個人におけるゆいまーる精神は本土の方々の方が格段に意識が高いと感じている。
感覚的な部分も多いが、沖縄の人とビジネスをするうえでの参考にしてほしい。ゆいまーる精神は、こと沖縄のビジネスシーンでは十分に発揮されていない気がするのだが。
仕事の依頼などに行く際には、このように本土か沖縄の経営者かによって、また法人か個人かによって攻略方法を考える必要がありそうだ。
ちなみに、私の場合はこの法則を編み出してから、例えば沖縄の経営者には今まで自分が何をしてきたか、また将来何をしようとしているかを気合いを入れて語るようにし、本土の経営者には数字で説明するようにして、比較的成果をあげている。
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